「なおすー再生と循環」をテーマに、一貫した作品制作を行ってきた
青野文昭が関西エリア初の作品展示を神戸六甲ミーツ・アート2024 beyondで行います。
廃棄物を収集・修復し、それまでとは異なる様相を出現させる行為を続けてきた青野氏。
本芸術祭での出展作品《机上の庭園ーわれらの住まうところ 2024》は、六甲山の山道や空き地に取り残されていた「もの」たちを再構築して作られます。破壊と再生、循環する人間の営み、六甲山の過去と未来を映し出すかのような作品です。
会場は「風の教会エリア」内 六甲山芸術センターです。
青野文昭 メッセージ
もう30年以上続いている自分の仕事の発端は、人類の創造行為への根源的疑念だった。自然や他者を資源・材料としてばかりとらえ、そうでなければ敵対するものか必要の無いゴミとして排除し、この「世界」をつくってきた(そして今なお多くの紛争や災いを生み出し続けていることにも繋がっている)人類の「創造」。
その上で、「破壊と再生―循環」から育まれる別なタイプの「創造性」もあるのではないかと、「なおす」とか「修復」といういとなみに注目してきたのだった。
今回会場になっている六甲山に初めて来て、幾重に重層する破壊と再生の長い歴史から育まれた、都市と自然の拮抗する不思議な美しさに触れ、ある種の運命的なものを感じながら、あるいは勘違いなのかもしれないのだが、なんらかの未来へのメッセージの様なものまでをも、勝手ながらも直観することができた。
本展示では、そうしたこの土地から受けた「メッセージ」(の様なもの)を解析しつつ、何らかのリアクション(長年「破壊と再生」をコンセプト据えてきた自分なりの)としての作品に繋げられればと思っている。
自分の展示場所は、一見六甲山上とは思えない、狭く暗い閉鎖的なビルの一室なのだが、かえってそこから、古くて新しく身近で大きな問題につながっていくような、凝縮度の高い空間が生まれればと期待している。
というのも、その様な目の前のちっぽけなもの(作品)を通して、次元の異なるものごとを通じ合わせる想像力を喚起し得るところが美術の醍醐味だと考えている。
何はともあれ開幕に向け、自分が今まさにこの仕事を成就することができるかどうかにかかっているわけなのだが。
青野文昭 アーティストプロフィール