大野 智史
大野 智史おおの さとし
1980年岐阜県生まれ。2004年東京造形大学造形学部美術学科を卒業し、現在山梨県富士吉田市にアトリエを構え制作活動を行っている。「体感を通して物事を知るほうが本質、新しい感覚が動き出すことが制作の動機」だと語る大野は、富士山麓原生林の圧倒的なエネルギーを感じながら、「自分ならではの表現主義」といえる、自然や現代社会における自我の内面を表し、追求してきた。
大野作品の大きな特徴として、自然と人工、生と死、光と闇、東洋と西洋など、相対する既存の価値観を画面の中で融合し、共存させている点がある。その中で自画像、両性具有、原生林、亜熱帯植物、プリズム、スピーカーといったモチーフは、作品における重要な要素となっている。その世界観は幻想的でパラドックス、豊穣でカオスであり、空想と現実の両視点で、根源的な答えと調和を探し続けている。